A. T.

海外本部 海外技術第一部(記事掲載時)
2006年入社
理工学研究科 建設工学専攻

水を必要としている国の
人々に寄り添い、
役立てる喜び

日水コンとの出会いは、学生時代に取り組んでいた研究を通してでした。「都市河川における魚類の再生」がテーマでしたが、その研究の対象河川に偶然日水コンが同じような内容で業務として関わっていたのです。「水に関わる仕事で、環境に配慮した取り組みができるかもしれない」、そう考えたのが入社の最初のきっかけです。
入社から10年が経ちますが、私はさまざまな部署で経験をさせてもらいました。最初は下水道事業部で下水道の地震対策や長寿命化計画に多く携わりました。マンホール内に入っての現地調査など、現場も多く体験できた部署でした。その後水道事業部に異動し、水道に関する計画策定や各種調査、厚生労働省の案件などにも関わりました。いずれの部署でも日々新しいことを覚えることへの興味で好奇心が満たされ、社内の雰囲気がとても良かったことが印象に残っています。上下水道どちらにも関われたことで自分の幅も大きく広がりました。そして2012年、海外事業部への異動が命じられ、私の新たな挑戦が始まりました。

意思疎通の難しい
海外事業での悪戦苦闘

海外事業部の仕事には、JICAが水インフラのコーディネートを行う際の事前調査の担当や、技術協力プロジェクトへの参加、そして日水コンとして相手国と契約し、プロジェクトを進行するといったいくつかのパターンがあります。プロジェクトの大小によって長期・または短期で海外に出かけ、現地のローカルスタッフを動かし、または大きなプロジェクトになるとインターナショナルエンジニアと呼ばれる他国のコンサルタントとも一緒になって、プロジェクトを進めていきます。
私が最も印象に残っているのはミャンマーの最大の都市、ヤンゴンでのプロジェクト。これは300kmもの長さの水道管とそのポンプ場、配水池を新たに建設するもので、合計で7年かかる大規模なものです。私も設計期間である最初の1年間を家族とともにヤンゴンに駐在し、ポンプステーションの設計などに取り組みました。日水コンからは約10名、ローカルエンジニアやインターナショナルスタッフも含めると50名にもなる大所帯で、意思疎通も簡単ではありません。細かい作業はローカルエンジニアにお願いするのですが、日本人とは時間感覚が異なるためか、期日までに終わっていないことも日常茶飯事です。私自身が不慣れな仕事内容もあり、段取りの甘さもあったと思います。しかし、落ち込んでいても作業は進みません。現地に暮らし、濁った水道水しか出ない水環境の劣悪さは私自身も体験しました。プロジェクト対象地域に住んでいる現地スタッフもおり、井戸水しか使えず水道施設を待ち望んでいる切実な声も聞こえていました。「皆が水を待っている」、そう思うと私の苦労は小さなものだと思え、根気強く指示し続けるしかありません。幸い、ミャンマーの人たちはとても朗らかで人も良く、一緒に仕事をしたヤンゴン市役所のスタッフも良い方たちばかりで、「この人たちの役に立ちたい」と自分の奮起材料に変えていきました。

海外のプロジェクトを
まとめる
リーダーを目指す

ヤンゴンに駐在しながら進めた設計作業は1年で一段落しました。ここからは入札が行われ、その後約5年間かけて工事が行われます。まだ設計段階の水道ですが、出来上がった水道の蛇口から透明な水が出たら、現地の人たちだけではなく私自身も興奮し、自分の仕事に誇りを感じることになると思います。海外では、安全な水道水を待ち望んでいる人が本当にたくさんおり、その人たちのために日水コンが技術で寄り添い、役立っていけることは何よりも嬉しいことです。
ヤンゴンのプロジェクトでは私は一設計担当でしたが、今後は海外事業でのプロジェクトマネージャーを担当するのが目標です。海外案件では関わるスタッフも数十人規模と非常に大きく、そうしたスタッフのとりまとめからクライアントである現地自治体との協議、資金管理など、全体を見ながら動かしていくマネジメント力が必要です。これをこなすためにはもっと多くの知識や経験が必要になりますが、何を知り、どういうことを経験しておけばプロジェクトマネージャーとして必要な要素を満たすことができるのか、今は勉強中です。今後担当するプロジェクトではそうした部分も意識し、業務を実施していく必要があります。自分自身に力をつけ、そして水を欲する人々の役に立つ。その両輪を意識しながら、まだまだ努力し続けます。

1日のスケジュール

Schedule of the day

07:40
駐在先のヤンゴンにて車で通勤
08:00
事務所に到着し、
その日の仕事の
指示を行う
09:30
20〜40名で
チーム内
ミーティング
(週1回)
12:00
現地レストランで
昼食
13:00
担当業務の実施/
各担当者との
打ち合わせ
16:00
担当業務の実施/
クライアントとの
打ち合わせ
19:30
帰宅