長寿命化計画
1.背景・目的
廃棄物処理施設の基幹的設備改良の必要性
一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設、し尿処理施設等)は、ストックマネジメントによる機能保全や延命化対策を講ずることにより耐用年数の延伸を図ることが重要となっています。
基幹的設備改良事業は、主に廃棄物処理施設を構成する重要な設備や機器について、施設の延命化、省エネ、CO2の削減に資する機能向上を図るため、概ね10~15年毎に実施する大規模な改良事業です。
改良事業では、3種類の交付金制度(①循環型社会形成推進交付金制度、②二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備導入推進事業)、③廃棄物処理施設整備交付金が適用可能ですが、交付要件(施設の稼働に必要なエネルギー消費のCO2削減率や「廃棄物処理施設の基幹的設備改良マニュアル(平成22年3月、令和3年4月改訂)」に適合するものに限る、等)を満たす必要があります。
CO2削減率 | 交付率 |
---|---|
3%以上 | 1/3 |
20%以上 | 1/2 |
長寿命化計画の必要性
長寿命化計画は、施設のストックマネジメントに関する具体的な計画であり、施設保全計画と延命化計画から構成されます。基幹的設備改良事業の採択にあたっては、長寿命化計画の策定が義務付けられています。
2.検討手順・ポイント
長寿命化計画の策定意義
施設保全計画は、施設の性能を長期的に維持していくために日常的・定期的に行うべき作業計画です。設備・機器に対し適切な保全方式や機器別管理基準を定めることにより、合理的かつ経済的な施設運営が可能となります。
また、延命化計画は、経年的な施設性能の低下に対して必要となる基幹的設備・機器の更新等の整備を、適切な時期に行うための計画です。性能水準を達成するために必要となる改良項目や改善工事の範囲を抽出し、具体的な延命化工事計画、整備スケジュールを設定して延命化工事費の積算、延命化工事による省エネ・CO2削減・機能向上等の効果を算定します。
(1)施設保全計画の策定方法
施設保全計画は、施設の維持補修履歴の整理、主要設備・機器リストの作成、運営管理実績データの整理等を行うとともに、各設備・機器の保全方式の選定、機器別管理基準の作成、健全度の評価、劣化予測、整備スケジュールの作成を行って施設の実情に応じた計画を策定します。
(2)延命化計画の策定方法
延命化計画は、計画対象施設の機能診断、評価及び一般廃棄物処理基本計画、施設整備計画等に基づき、延命化の目標を設定し、性能水準達成に必要となる改良項目、工事範囲、整備スケジュール等を設定して延命化計画を策定するとともに、延命化対策の効果を算定します。特に、延命化の目標設定、効果検討にあたっては、施設の更新を行う場合と基幹的設備改良事業による延命化対策を行う場合について、それぞれのライフサイクルコスト(LCC)の比較、物質・エネルギー収支の試算、CO2削減効果、機能の評価を行って最適な施設整備計画策定に資する提言を行います。
3.業務実績
2022年現在
受注年度 | 発注者 | 業務名称 |
---|---|---|
令和2年度(2020年度) | 栃木県足利市 | 東部クリーンセンター長寿命化総合計画策定業務委託 |
平成29年度(2017年度) | 埼玉県八潮市 | 長寿命化計画策定等支援業務委託 |
平成27年度(2015年度) | 北海道南十勝複合事務組合 | 南十勝環境衛生センター長寿命化計画策定業務 |
平成26年度(2014年度) | 群馬県渋川地区広域市町村圏振興整備組合 | 渋川地区広域圏環境クリーンセンター長寿命化計画策定業務委託 |
平成24年度(2012年度) | 新潟県上越市 | 汚泥リサイクルパーク長寿命化計画策定業務 |